アマルフィ・女神の報酬





今回の映画は織田裕二ファンのボクから見ても、正直厳しい映画でしたね。「オールイタリアロケ」「外交官に扮して大活躍」「本人も続編に意欲」などと煽り番組でさんざん言われると、一体どんな冒険活劇を見せてくれるのかと期待で一杯でした。

ただ、外交官という事は、俗に言う「外交官特権」がある代わりに、「捜査権」を持たない訳だから、海外で事件があっても、出来るのは邦人の保護だけで、今回のような誘拐事件があった場合、普通は地元警察に任せるしか出来ないんだよね普通は。まあその辺は映画だから織田裕二も混ぜてもらっている訳だけど、当然ながら拳銃は持っていないし、あまる深入りすると本来の「外交官の仕事」が疎かになって大使館内での立場も危うくなる。

その辺をどうクリアした上で、どんだけ凄い話になるのかと期待したんだけど、やっぱりそういった制約の範囲内でしか活躍できなかったので、正直物足りなさは残りました。これが「県庁の星」だったら、主人公は一介の公務員だから期待のハードルも低くなかったんだけどね。

ただし!これが真保裕一脚本作品という観点から見ると、仕方のない部分もあるんだよなあ。こう言うとファンの方は激怒するかもしれないけど、氏の作品は「奪取」を除けば基本的に中年の公務員が主人公で、組織内の不正を暴いたりする「地味な裏方主人公」スペックの作品が多い気がするんだよね。だから拳銃もないし殴り合いなどのアクションシーンも原則なし。そういう脚本家の書いた本で主人公のスペックを考えると、これが精一杯なのかもしれないよ。

あまり叩いても芸がないので、良かった点も書くか。織田裕二が良くも悪くも、どんなスペックのキャラを演じても「織田裕二」の個性が勝ってしまう、いわゆる『職業・織田裕二』なのに対し、最近すっかり姉御肌キャラが定着しつつある天海祐希が、いつもメソメソしてばかりいる母親役(まあ娘が誘拐されたんだから当然か)をキッチリ演じていたのは凄いよ!

そしてその天海祐希とつい先日までドラマ「BOSS」で組んでた戸田恵梨香!彼女のダメダメ新人ぶりと、それでも精一杯頑張る姿は好感が持てたし。件のドラマとは180度逆転したような関係の2人を見れるのは、ちょっとしたパラレルワールドを見ているようで楽しかったです。このまま長澤まさみが凋落していけば、その地位を乗っ取る事も可能かもしれないなあ(出来れば今度の「曲がれ!スプーン」で挽回してほしいけど)

ただやっぱり残念な部分は他にもあって、実は佐藤浩市が犯人でしたという部分に意外性が少ないし、本当の目的である外務大臣暗殺を安易な説得で投降しちゃったり。これで織田裕二は南米に左遷されちゃう訳だけど、本人が「また次回作をやりたい」と言ってるという事は、スポンサー等々の外堀が埋まれば、今度は「オールブラジルロケ」になって、余技でグレイシー柔術の道場に通うなんて光景が見れちゃったりするんでしょうか?(笑)