チーム・バチスタの栄光






えーと、この映画の感想は大まかに分けて2通りあるんだけど、それを前にまず最初に言うなら、「今回も阿部寛は凄い!」に尽きるでしょう。今じゃ「元メンズノンノのモデル」なんて過去を信じられないくらい役者として抜群だし。例えどんなスペックの役を演じても「阿部寛演じる○○」って感じで、ここまで来てる役者ですぐに思いつくのは織田裕二と木村拓哉くらいなような・・・。(深田恭子も違った意味でそんな女優になりつつあるけど)

感想その1。まず純粋にストーリーを論じるなら、とにかく殺人トリックが凄かった!最初は吉川晃司の視力悪化が原因の「単なる医療ミス」かと思ったら、実は田中直樹が故意に患者を薬殺してたなんて誰も思いつかないよ!それを見越して術死した患者をMRI検査にかけようとする阿部寛は、やっぱりキレ者だね。確かに手術中に患者が死んだら解剖しようなんて誰も思いつかないよな。

でもって、その薬殺の仕方が凄い!普通心臓手術なら心臓に何らかの影響を与えて殺す事を考えるんだろうけど、脳に異常をきたすような薬を注入なんてなあ。仮に解剖しようと試みたって、詳しく検査するのは心臓周辺だろうから、その辺を見越して「完全犯罪」を考えたんだろうなあ。

感想その2。竹内結子が心療内科医で「受動的尋問」をするのに対し、阿部寛は役人のせいか「攻撃型尋問」。この辺はカウンセリング方法でも実際にあるのかもしれないけど、ボクの場合は今の所前者しかないなあ。でもって犯人が歪んだ動機で犯行に及ぶんだから、マジで世も末だなあ。「みんなが慌てるのを見るのは娯楽として最高」なんて動機で人を殺すなんて心が病んでるって!(怒)ただ情状酌量の余地があるとしたら、序盤で言ってた「麻酔医はとにかく酷使されて過労死寸前」だから心を病んだのかもしれないけど、それが免罪符になると思ったら大間違いだって!(怒)おまけに子供は殺さなかったのは「人としての情があるから」かと思ったら、単に「子供にはあの薬を使えないから」ってそりゃ何だ?(怒)もし使えるなら殺してたって事かよ!(怒)

心を病むと大きく分けて3パターンあるけど、まず大部分はボクみたくとにかく凹んで鬱になる。あとは直接的攻撃型でささいな事でブチ切れて「発狂したのか?」と言うタイプ。あとは表面上は常人(こういう言い方は好きじゃないけど)を装いながら裏で犯罪行為を行うタイプ。今回の犯人もこのパターンだったけど、とにかく昨今は映画でもドラマでも現実でも、こういう犯罪者が増えて来ているよなあ。これを「時代のせい」とか「労働条件悪化のせい」とかいろいろ理由はあるんだろうけど、とにかくこの映画の表テーマが「医師のモラル」だとしたら、裏テーマは「病んだ世の中」かもしれないなあ。