K-20怪人二十面相・伝






そもそもこの話は「本物の二十面相は誰だ?」という主題だったから、途中さんざんミスリードを誘う場面が多く、正体は予想外の人間だろうな〜とは思ってました。実際、事前の煽り番組でも「もしかして松さんかもしれませんよ〜」なんて言ってたし。

だからボクは正直、金城武に泥棒指南をした國村隼じゃないかと思ってたんですよね。実際ラスト直前で「本当にコイツを壊すのか?コレがあれば、あいつらに電気を送れるだろ?」と翻意を促す場面もあったし。

ところが!!

何と犯人は明智小五郎だって言うじゃないの!こんなのアリか?でもって今までの泥棒行為も「自分で予告状出して自分で警備すれば、隙をついて簡単に盗める」って、思いっきり自作自演な『トロイの木馬』的発想だな〜。いくら新解釈の話とはいえ、こんな事して江戸川乱歩に怒られないかね?(笑)

それにしても、この作品は冒頭からラストまで「どんでん返し」の連続というかツッコミ所満載というか、ある意味凄すぎたな〜。順に列挙すると。

・ボク的には「格差社会」の象徴とも言える明智の子分の小林少年。最後には全く悲しんだ様子もなく「明智先生の弔い合戦をしましょう!」と、なぜか嬉しそうというか、オイシイ役が回って来てやる気まんまんに見えるんですけど、仮にも「捕まえる側」の人間がこれでいいのか?序盤の爆発実験シーンでも嬉々とした表情してるし。

・その小林少年の部下である「少年探偵団」だけど、やってる事は「陰からコソコソ観察している」だけじゃねえか!(笑)無理矢理出番作る必要ないような・・・。

・入浴中の松たか子の所へ問答無用に乗り込む金城武が怒られるのは当然だけど、そこでなぜ立ち上がる?もちろん「良家の子女のたしなみですから」じゃなくて「入浴シーンのお約束ですから」なんですけど、そこで鼻血を出す金城&國村!お前ら男だよ!(笑)
※ちなみに煽り番組での金城曰く、この日が撮影スケジュールの中で、いちばん差し入れに来る人が多かったらしい。お前らも男だよ!(違うって)

・マジな感想を言うと、そもそも「二十面相=明智」に最初に気がついたのが松たか子というのには驚いたけど、その理由が「手が似ていた」というのにはビックリ!この辺は、さすが女性脚本家だよな〜。普通オトコはそこまで気が回らないもん。だから正体バレたというか。

・中盤で金城×仲村トオルがコンビを組んで陸軍施設に乗り込んだはいいけど、冷静沈着な明智がヘタレ演技をするシーンは爆笑!まるで「あぶない刑事」時代のヘタレ新人デカ「トオル君」を思い出したね。

・ワイヤーアクションは「スパイダーマン」を、二十面相の衣装は「バットマン」を彷彿とさせてたな〜。でもって制作スタッフが「三丁目の夕日」で、世界観は「帝都物語」にも似てるし。ある意味上手に組み合わせてパクっているよなあ。

・中盤とラストの2回、ミニヘリコプターで金城の危機を救う松たか子。あんな重機を所持してるなんて、さすが金持ち財閥だと思ったけど、自分で運転出来るというのも凄いな。これも護身術同様「良家の子女のたしなみですから」なのかな。にしても便利な言葉だね(笑)

・ラストで「二台目・二十面相」になる金城だけど、この流れから行くと、今度は前述の小林少年が「二台目・明智小五郎」になって続編を作るのかなあ?きっとその時、松たか子は財閥解体してそうだから、パート2のヒロインは違う子になるのかもなあ。