キラー・ヴァージンロード





この映画を一言で評価するなら「無駄に豪華《に尽きる気がします。監督は岸谷五朗が初挑戦。上野樹里と木村佳乃のダブル出演。主題歌は福山雅治。他の出演者も寺脇康文•小出恵介•中尾明慶•高島礼子•北村一輝•北村総一朗と出ているにも関わらず出てる時間は短い。その上、肝心のメイン主演のはずの上野樹里は、完全に木村佳乃に喰われているし。元のアイデアは良かったのに、脚本と演出で駄目になった気がするなあ。

というのも、殺して慌てる上野に自殺しようとする木村、という構図だったら、インパクトは互角の筈なんだけど、前述したように、完全に木村の壊れっぷり演技が凄いんだもん。という事は、木村の演技力が全てをご破算にしちゃったって事か?これは監督にとっても誤算だったかもしれないねえ。

そもそも「自殺したがる女《というだけでも凄いのに、なぜか上野と一緒に行動をともにするようになったら、主導権を完全に握り「さあ着いておいで!《といった感じで引っ張って行くんだもん。いくら「ラスト・フレンズ《で長澤まさみを凌駕した上野でも、もっと芸歴の長い木村には勝てなかったという事だ。まあ今回の上野が演じるキャラは、基本的に「のだめ《の延長の素に近いスペックだから、そりゃあ勝てないってもんです。作り込みが違いすぎるもん。

あと上思議だったのが、肝心のストーリー展開。式場レンタルが最近のスタンダード形式なのに、なぜ自室にウェディングドレス?まさか買ったの?あと式場に祖父しかいないのはどうして?夫は何で最後の数分間しか出て来ない?普通こういう困った事態になったら、結婚相手に相談しないか?

でもって、誤殺した筈のヘンタイ大家が実は生きてましたというオチはまあいいとして、結婚相手も実はヘンタイな上に、これまた上慮の事故で殺してしまうのはアリか?で再び逃避行?さすがに今度は木村は出て来ない(気配というか何となく違和感を感じたシーンはあったけど)けど、それでも「また誰かが助けてくれるかな?《的笑顔で歩いて行くラストを見ると、あまりの安直さに思わず違った意味で唸ってしまうよ。同時期に「サマーウォーズ《を見てたせいもあって、余計この映画が薄っぺらく感じちゃったね。以上!