スカイ・クロラ






これは思いっきり偏見かもしれないけど、この作品って、何か「どれだけ予備知識を仕入れたか?」によって満足度がかなり違うんじゃないかな〜って気がするんですが、これは気のせいでしょうか?

だって「戦争しているのは国同士じゃなくて、『戦争請け負い会社』同士であり、普通の国民はそれを一種の娯楽として見ている」「戦争に携わるのは『キルドレ』と呼ばれる少年たちで、戦闘で死なない限りはずーっと年を取らず子供のまま」なんて重要な情報が話の中では思いっきりサラリとしか紹介されないので、ちょっと油断してると聞き逃しちゃいそうな感じだったもん。

でもって「死んだキルドレが蓄積した戦闘スキルを何らかの方法で新しいキルドレに移植して戦闘に『復帰』させる」なんて空恐ろしいシステムで『戦争』を演出してるんだから、こういう話(他にも色々あるんだろうけど)を事前に知っておかないと、押井監督の演出の意図は伝わらないんじゃないかな〜と余計な心配すらしてしまいました。実際ほとんど予備知識なしで観に行ったボクからしたら、「???」の連続でしたもん。

とは言うものの、ワンカットワンカットで見てみると、カッコいいシーンが多いのも、また事実です。ボクがいちばん好きなのが喫煙シーンで、カンナミ・ユーイチが片手でマッチすって煙草に火をつけ、そのまま片手でマッチを折って捨てるシーンなんかもう抜群!自慢じゃないが、家族で花火大会をする際に真似しようとして見事に失敗しましたもん(苦笑)

でもって日テレを筆頭にスポンサーがワンサといるから空中シーンなんか実写顔負けの凄さだし、戦闘シーンなんか空薬莢がきちんと飛び出すし、ここまで緻密な空中戦闘モノは、ボクが知らないだけかもしれないけど、実は初めてかもしれないなあ。撃たれてコクピット内が血の海になる所もリアリティあったし。

ただなあ、前述したように、個々のシーンが良くても、ストーリー全体を統合してみると、やっぱり色々調べたりしないと意図が分からないんじゃないかな〜と、せっかくの大作(それも「ポニョ」と同時期だよ!)が勿体ないな〜と、つくづく思った次第でした。

蛇足ながら、トップの『1/2散香』は汐留の日テレ社屋で絶賛開催中だった「日テレジャンボリー」で展示してあったものでした。さすがにコクピットには座れなかったけど。というか、「1/1」スケールにして、コクピットに座らせてほしかったなあ。