涼宮ハルヒの消失





>はじめに
実を言うとこの映画、全く予備知識なしで観に行きました。悪い言い方をすれば「魔が差して」映画館に言ったという所です。全く予備知識がないと言っても、『絶対可憐チルドレン』の流れから、平野綾さんの出世作である事、「宇宙人(中略)いたら私の所に来なさい!」という名台詞や、テレビ放送時に物議を醸した「エンドレスエイト騒動」なども何故か知ってたし、とにかくマニア層には絶大な人気がある作品なんだな〜という程度の認識でした。

>1回目
そんなこんなで、ふと思いついて映画館へ足を運んだのが4月。2月から上映しているにも関わらず、何故か超満員。相当の人気があるんだな〜と思ったけど、中にはリピーターも多いみたい。この辺は「サマーウォーズ」と同じだな。最初は上映時間が2時間40分と言う事で、どんだけ長いんだよ?と思ったけど、あれよあれよという間にエンディングを迎えてました。予備知識なしで、ここまで引き込まれる原作付きアニメも珍しいな〜。

で感想ですが、ボクが思うに、この作品の肝は主人公キョンの奮闘記であり、キョンの独白とツッコミがストーリーの根幹を成しているという感じで、「なんてこった」(オレは、ハルヒに会いたかった・・・)という風な使い分けが絶妙だったね。この独白&ツッコミは田中芳樹作「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズでも使われてたけど、小説では抜群なのにアニメ化したらまるで生かされてなかったので、余計に抜群さが際立っていた気がします。

そして最後に「くそったれと伝えろ!」と長門に言うシーン。前述の独白とこの台詞。この2つがボクの中では双璧だったね。

>原作&テレビ版
映画を見て、原作やアニメ版がどんな話だったのか?そりゃあ興味を覚えるというものです。最初から「消失」を読もうかと思ったけど、ここはやはり最初の「憂鬱」から読んだ方がいいだろうと思い、ブックオフで順番に買って行くのですが、なぜかなかなか置いてないので、いろんな支店を巡回して、どうにか「分裂」まで制覇しました。ここでつくづく感じたのが、「消失」が原作をそのまま丁寧に映像化している所。これなら3時間近い尺になるのも納得です。

また、某無料動画サイトでアニメ版も全部観ましたが、ここでもキョンの独白&ツッコミが絶妙だったし、長門・古泉・朝比奈さんの背景、ハルヒの能力(?)についてもじっくり認識する事が出来ました。また「笹の葉ラプソディ」を筆頭とした、映画に繋がる伏線があったから、これはまた映画館に行くしか無い!と思った次第でありました。

>2回目
という事で、再び映画館です。原作やテレビ版の他にも予備知識を色々仕入れて来たのですが、どうも今回の映画は「長門萌え」らしい。確かに普段の長門は無口無表情無感動状態が普通なのに、映画では引っ込み思案モードながらも微妙に意思を伝えたり表情に出したりするから、そりゃあファンにとっては萌えるだろうなあ。個人的には、「ジョン・スミス」の由来を筆頭とした伏線を仕入れて観ているから「なるほど!これはそういう事だったのか!」と感嘆する事しきり。つくづく良く出来た映画だと、改めて思った次第です。

ここで気になったのは、キョンはハルヒ・長門・朝比奈さんの3人に対してどういう感情を持っているのか?という事。映画だけでなく原作&アニメ版を含めてずーっと観ていると、ハルヒには「やれやれ」といった程度の態度しか取らないけど、いざいなくなったら「ハルヒに会いたかった・・・」と獅子奮迅するから、おそらくは本命なんだろうな。また、口では「朝比奈さ〜ん」と言ってるけど、実際には何も行動を起こしていない事かr、端で見て喜んでいるだけにしか見えない。

で、この映画のテーマでもある長門。「くそったれと伝えろ!」と言い放ったり、「すまないな」と入部届けを返したり、感情を表に出す長門に戸惑いながらも少し惹かれていたんじゃないか?と思ってしまいました。それだけに、入部届けを返されて泣きそうになる長門がちょっと不憫に思ったけど、それが長門クオリティだから仕方ないよね。結局の所、キョンはハルヒを選んだという事だろうから。